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現在の制作状況 ③/乾燥時の造形


作品の乾燥が随分と進んでいる。粘土は乾燥すると収縮する為、作品のサイズは小さくなっていくが、私はこの変化が好きだ。収縮することによって形に"締まり"が出て、表情にもピントが合ってくるように感じる。


乾燥と共に粘土の色も変化していく。私は少し水分の残った粘土の色に魅力を感じる。それは、小雨が降った路面のようである。そのしっとりと濡れた質感は、どこか懐かしい印象を併せもっている。


乾燥して粘土が固くなるに伴って、造形が困難になる。その為、手を動かすよりも作品を観察する時間が長くなるので、作品への向き合い方も変化していく。私はこの時期に今後の制作につながる思考を得ることが多い。この時間があるから、粘土を素材にして作品を作り続けているような気がする。


私は様々な土地に移り住み、そこで貴重な出会いがあった。それらは永遠の時間でないからこそ美しい。しかし、時には心の奥底に留まり、かけがえのない存在となる。

今回の作品では、このような移り変わる時間と、そこに残されたものを、この乾燥時期に織り込みたいと考えている。それは、もしかすると形で表現すべきことではないのかもしれない。少なくても、思い込みやこれまでの経験をもとに造形してはいけない。その際に、最も必要なことは、作品に対する執着心だと感じている。











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