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現在の制作状況 ⑨/作品の完成


ついに作品が完成した。タイトルは「山際」と名付けた。

私は複数の作品を同時並行して制作することにより、一つの作品にできるだけ長くの期間をかけるようにしている。それは各工程で気が付いたことを可能な限り形に織り込みたいからである。短期間で目に見える結果が求められる現代社会のなかで、時間と手間のかかる私の制作スタイルは、時代に逆行しているのかもしれない。しかし、彫刻には少しずつの積み重ねでしか見えてこない形があり、今の時代においてもその重要性を感じている。


この人物像は伊賀の山際にかかる、伸びやかに横に広がっていく雲からイメージした。雲は常に現れては消えながら、自由に形が変わっていく。明るく大らかな表情をしている時もあれば、暗く激しい印象を与える時もあるが、そのような掴みどころのない印象に人の姿を重ね合わせた。環境や時間によって変容していく人物の有り様を、具象と抽象の境界あるいは渾然と共に表している。人物のポーズは、少し滑稽にもみえるものを選んだが、表現したいことはそこから感じ取れる現実と非現実であったり、シリアスな感情だったりする。


この作品は9月18日から開催される新制作展(国立新美術館)にて発表する予定だ。完成したばかりで、まだ冷静に見返すことはできてないが、展示の際には新たな気付きがあることを期待している。
















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