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現在の制作状況 ①/石膏型での展開


現在制作をしている作品は、三重に移住してから制作した中では最も大きいサイズとなる。手を伸ばして横たわったポーズの人物像だが、原型で220センチ位の横幅がある。乾燥と焼成で収縮しても2メートル以上にはなりそうだ。

私は作品のほとんどを石膏型を用いた技法で制作しているが、作品が大型化すると技術的な難易度が高くなる。それは粘土が柔らかい為、大きさに伴った工夫が必要とされるからだ。そのような理由から、不必要に大きく作ることは得策ではないが、今回の作品は構成的に横への広がりが必要だったので、このサイズとなった。


現在の制作状況は、塑造用の水粘土での原型制作が終わり、石膏型での展開を行っているところである。これは焼成が出来るように、水粘土から焼き物用粘土に素材を置き換え、中を空洞にする作業であるが、私の制作にとっては表現を新たに加える大切な工程でもある。現在取り組んでいる、彫刻の外側と内側の境界を繋げる造形もこの工程で行っている。

原型から石膏型を取る作業は慎重に進めても必ず予期せぬ問題点が起こる。その為、多少の出来事に一喜一憂せず淡々と進めることが好ましい。単調な作業が続くが、私は手を動かすことは苦にならないし、作品についてのアイディアも石膏型の制作中に浮かぶことが多い。

石膏型が完成すると、そこに陶芸用粘土を張り込んでいくが、いくら出来上がりをイメージして行っても、作品の形が確認できないため不安を伴う。しかも、私の制作においては表現内容に直結する工程なので神経を使う作業となる。しかし、石膏型を外す際には、変化した作品と対面できるので、それらの苦労を忘れるほど、心が動かされることがある。


このような、不安と期待の入り混じる作業を重ねていきながら、時間を掛けて作品の形が出来上がっていく。

彫刻の制作は時間と労力がかかるので、彫刻家は気の長い人が多いという印象をもたれるが、なぜか私も含めてせっかちな人が多い。前回の作品では、あと1日経ったほうが良い作業を待ちきれずに行い、危なく全てやり直しになるところであった。その反省点を踏まえて、今回は意識してじっくりと進めるようにしている。












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