作品が壊れても、表現は壊れないものを作りたいと彫刻家を志した頃から思っている。それは私が京都で育ったことにも関係しているかもしれない。古い寺院や仏像は一部が破損したり、彩色が剥離したりしているが、作品としての価値は落ちない。
テラコッタは彫刻の素材としては脆い部類である。私の作品は通常の焼成温度よりも300度ほど高い1050度から1100度の間で焼成するため比較的硬質だが、それでも慎重に扱う必要がある。しかし、私は作品によっては壊れることも想定して造形する。そして、制作時や完成後に破損したとしても、できる限り修復しない。なぜなら、人も物もいずれ土に還るので、その過程も表現として受け入れたいからだ。