手付かずの自然も良いが、庭園や公園のような人工的に作り上げた自然の景色も好きだ。
津市周辺においては、自然豊かな広い公園が充実している。それは京都にある寺院の名庭とは異なる性質の空間で、肩肘張らずに過ごすことのできる癒しの場所である。私は三重に来るまでは都会で生活することが多かったので、とても贅沢な空間に思える。制作に気分転換を求める際に、スケッチブックを片手に公園を訪れることがあるが、多くのお気に入りがあるので気分によって選ぶことができる。公園を訪れる人々を見ていると、このような心を無にできる場所が社会には必要な気がしてくる。
人は美術に癒しを求める時もあるが、公園に求める癒しとは性質が異なる気がする。それは、少し毒のある、ほろ苦いものだと思う。飲み物で例えるならウィスキーのように、口の中では苦味のある香りが広がり、喉を通ると熱く身体の隅々まで染み渡るようなものかもしれない。
