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2024年6月7日
現在の制作状況 ⑥/焼成後の制作
作品の焼成が終わった。私の場合は焼成による割れを防ぐために、通常よりも時間をかけて温度を上げていく。そのため焼成期間は長いが、その間に作品について客観的に振り返ることができる。窯出しすると同時に作品が完成する作家も多いが、私の場合はここから更に手を加えていくので、この冷静に...
2024年5月25日
現在の制作状況 ⑤/焼成前の制作と窯入れ
手を加えるほど作品が良くなるのは間違いだと気がついたのは、美術の勉強を本格的に始めた頃だった。当時、受験の為にデッサンをしていたが、描きすぎてダメになることが多々あった。現在もそれと同じことを経験している。どこまで手を加えて良いのかを、ある程度想像できても、そこでやめる気持...
2024年5月17日
BOOKMARK STORAGE/休息の場所
昨年末に、伊賀の新堂駅前にBOOKMARK STORAGEがオープンした。建築家の山崎健太郎氏が「本と出会う場」というコンセプトで設計した図書館で、カフェとギャラリーが併設されている。これは、DMG森精機株式会社が取り組む地域貢献の一つで、同社と伊賀市が共同で運営している。...
2024年5月6日
現在の制作状況 ④/乾燥の終了と焼成
作品が完全に乾燥した。すぐにでも焼成は可能だが、しばらくは造形を加えるつもりだ。 粘土は乾燥すると新しく付けても取れてしまうので、強制的にカービングのみの造形へと移行する。しかし、それは制作を厳しく抑制するというよりは、むしろ気休めをもたらしてくれる。粘土の造形は自由である...
2024年4月28日
伊賀のアトリエ③/制作スペース以外の場所(倉庫・キッチン)
伊賀にあるアトリエのDIYリフォームは、制作の気分転換を兼ねてじっくりと行っている。工作精度や装飾にこだわり過ぎず、アトリエとしての使い勝手を優先している。私の制作にとって心地良い空間とは、光と影が共存した気兼ねなく作業できる場所であり、洗練されたスペースではない。...
2024年4月17日
現在の制作状況 ③/乾燥時の造形
作品の乾燥が随分と進んでいる。粘土は乾燥すると収縮する為、作品のサイズは小さくなっていくが、私はこの変化が好きだ。収縮することによって形に"締まり"が出て、表情にもピントが合ってくるように感じる。 乾燥と共に粘土の色も変化していく。私は少し水分の残った粘土の色に魅力を感じる...
2024年4月7日
現在の制作状況 ②/乾燥初期での試み
作品原型から取った石膏型に陶芸用粘土を張り込んだ後は、石膏型を外して作品を乾燥させていく。私はこの乾燥時期にも積極的に手を加える。そして、その期間を出来るだけ長く取る為に、作品をビニールで覆いながら時間をかけて乾燥させていく。それは、等身程度のサイズの作品であれば二ヶ月以上...
2024年4月1日
現在の制作状況 ①/石膏型での展開
現在制作をしている作品は、三重に移住してから制作した中では最も大きいサイズとなる。手を伸ばして横たわったポーズの人物像だが、原型で220センチ位の横幅がある。乾燥と焼成で収縮しても2メートル以上にはなりそうだ。 私は作品のほとんどを石膏型を用いた技法で制作しているが、作品が...
2024年3月25日
卒業式/制作を続けることについて
私が勤める大学の卒業式があった。 今年卒業していく学生と私との年齢差は30歳である。それは私と師匠である山本先生との年齢差と同じである。私は学生の時に先生と圧倒的な差を感じていたが、自分が逆の立場になってみると、そこまでの差を感じない。それは、先生があまりにも偉大過ぎたのと...
2024年3月6日
デッサン/変わらない試み
私の自宅アトリエの壁に一枚のデッサンが掛かっている。 それは私が6歳の時に描いたサザエのデッサンで、現存している作品の中では1番古いものである。それを描いた時の状況は覚えていないが、 両親に貰った額縁に入れたことは記憶している。様々な絵の中で、これがもっともバランスよく額縁...
2024年2月23日
室生寺/十一面観音菩薩立像と五重塔
久しぶりに室生寺を訪れた。 私はここにある十一面観音と五重塔が好きで、何度も訪れているが、初めて来たのは大学1年生の時であった。当時写真に興味を持ち始めた頃で、亡くなった祖父が残してくれた古い一眼レフのカメラを手にしていたのを覚えている。実家が京都ということもあり、帰省を利...
2024年2月5日
白川郷/光と影
私は雪景色を見るのが好きである。雪に覆われることにより、固有の形や色が消えて光と影に変化した空間は美しい。今年は暖冬の為、三重県では殆ど雪が積もらなかった。このまま冬が過ぎていくのを残念に感じたので、雪景色を見るために岐阜の白川郷を訪れた。...
2024年1月20日
椿大神社/視覚と体感
三重県といえば伊勢神宮が有名だが、日本最古の神社の一つとされる鈴鹿市の椿大神社も地元ではよく知られた存在である。私は、樹齢数百年の杉が群生している、ここの深閑な雰囲気に惹かれて時折訪れる。 駐車場に車を停めて道に添って歩いて行くと、樹齢400年と伝えられる大きな樅の木が現れ...
2024年1月3日
伊賀のアトリエ②/制作に適した空間
伊賀にアトリエを購入してからは、時間のある時に少しづつ改装を始めた。手間は掛かるが、取り敢えずはDIYで行うことにした。それは、制作に適した空間とは何かを、実際に作業をしながら探りたかったからである。時間を掛けて理想の環境にアトリエを見つけたので、改装もじっくり進めようと思...
2023年12月19日
伊賀のアトリエ①/理想の環境
田舎にアトリエを欲しいと考え始めたのはコロナ禍が始まって少し経った頃からだろうか。人里離れた静かな環境で制作したいという夢は昔からあったが、なかなか実現させるには至らなかった。それは、私の制作がそれほど広い作業場を必要としない為、津市内の住宅地にある自宅アトリエと勤務大学の...
2023年12月7日
共同制作/建築家との交流
少し前のことになるが、建築家と共同制作の機会があった。 そのお相手は、京都でデジタルデザイン分野で活躍されている木内俊克氏と、三重にて数々の美しい建築を手掛けられる米田雅樹氏である。初めて打ち合わせをした際には、話題の豊富さから一日が直ぐに経ったのを覚えている。両氏とも謙虚...
2023年11月25日
辻󠄀晉堂「坐像」/卒業制作の記憶
豊田市美術館を訪ねた際に、常設展示にて辻󠄀晉堂の作品「坐像/1952年作」が目に留まった。 初めて辻の作品を見たのは大学四年生の時だった。当時、卒業制作にて二体の向かい合った人物の彫刻に取り組んでいたが、制作は思うように進まず苦労していた。...
2023年11月4日
石舞台古墳/彫刻的な身体感覚
先日、奈良を訪れた際に蘇我馬子の墓と伝えられる石舞台古墳に立ち寄った。以前ここに来たのは、東京藝大の助手をしていた際に参加した古美術研究旅行の時だったので、もう20年ほど前になる。 駐車場を降りると、そこは綺麗に整備された公園となっていて、のどかな風景を背景にして芝生の広場...
2023年10月20日
三重の空/境界について
18歳から22年間を過ごした東京を離れ、三重に移住したのは2012年の春である。それは人生の折り返し地点ともいえる40歳での出来事であった。 都会の景色に少々飽きていた私を迎えたのは広い空だった。空は当然のことながら同じ表情が二度と無い。その移り変わる性質に惹かれ、次第に空...
2021年4月1日
新美術新聞「美・友・人」寄稿文/恩師
私は29年前に東京藝術大学美術学部彫刻科に入学した。そこでは3年生以降に講座別で学ぶのだが、細川宗英先生と山本正道先生の講座を選んだ。 お二人は日本の具象彫刻界を代表する作家であり、私の憧れの作家でもあった。それまで教わる機会はなかったが、その厳しい彫刻の美を追求される...
2014年4月1日
新美術新聞「日々好日」寄稿文/飛鳥仏への想い
私は奈良で生まれ京都にて育った。そういった縁から、帰郷の際には必ず京都や奈良の寺院を訪ねている。そこで出会う仏像や庭園は時代が変わっても魅力は薄れていない。いつも新たな感動を与えてくれるので、自分の彫刻に取り入れようとするよりも、自然に接していたいという気持ちになる。 ...
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