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2024年12月19日
柳原義達展/三重県立美術館
三重県立美術館にて開催された柳原義達展に関わらせていただき、貴重な経験を得た。 柳原義達を知ったのは高校三年生の頃であった。その頃、美術大学受験の為に住まいのある京都から大阪の美術予備校に通っていたが、その乗換駅である梅田駅の近くに大きな書店があり、そこで彼の著書である「孤...
2024年12月7日
制作/壊れない表現
作品が壊れても、表現は壊れないものを作りたいと彫刻家を志した頃から思っている。それは私が京都で育ったことにも関係しているかもしれない。古い寺院や仏像は一部が破損したり、彩色が剥離したりしているが、作品としての価値は落ちない。 ...
2024年11月28日
Gifu Anpachi Inter KEY’S CAFÉ/梁
出先で個性的なカフェを見つけると、つい立ち寄ることがある。少し前になるが岐阜に用事があった際に、以前利用したことのあるGifu Anpachi Inter KEY’S CAFÉを訪れた。 ここは昭和44年に建てられた古民家をリノベーションしたカフェで立派な梁がある。伊賀のア...
2024年11月21日
ロダン「パオロとフランチェスカ」/群像について
私は、最近改めて彫刻表現における群像の難しさと、その可能性を感じている。群像の研究を兼ねて、少し前になるがロダンのコレクションが充実している静岡県立美術館を訪れた。初めてここに来たのは私が大学院生の時だった。ロダン館ができてまだ数年後の時期で、大開口の天窓がある広い空間でロ...
2024年11月12日
人間関係/他者との関わり方
他者との関わり方は多種多様である。多くの作家がそうであるように、私は何よりも自由を大切に生きている。それが故に、他者に対しても自分の考えを押し付けるつもりはない。18歳で上京してからできた人間関係は、互いの考えを尊重できる人達ばかりである。...
2024年11月4日
姫路城/二面性
以前、兵庫県に用事があった際に姫路城に立ち寄った。 この天守閣は見る位置によって受ける印象が変わる。遠くから見ると、白い漆喰の中に屋根のシルエットが浮かび上がり、その重なり合う姿は優美である。近づくにつれて、それは視界から消えるが、代わりに軒裏が姿を現す。その等間隔で並ぶ垂...
2024年10月23日
制作/翌朝に分かること
よく形が見えていると思い、どんどん造形を進めていって次の日に見ると、自分勝手な思い込みで作っていることが多々ある。だからと言って、疑問を持ちつつ作って良いものができる訳でもない。 仕事柄、帰宅してから夜に制作することが多い。夜は静かで集中できるが、自分の感情に浸りすぎる危険...
2024年10月15日
茶畑/和束町石寺
少し前になるが、京都府の南に位置する和束町石寺に立ち寄った。ここは茶畑で有名な場所であるが、訪れるのは今回で2度目である。以前来た際にしっかりと見れなかったのでもう一度訪れた。 水田や茶畑のような開墾された土地は、自然と人工物の融合とも考えられるが、特に茶畑は斜面をそのまま...
2024年10月7日
発表を終えて/新制作展
新制作協会は今年で87回目を迎える歴史ある美術団体である。私の表現は近代彫刻の文脈に属し、全くの新しい表現というよりは、先人達の創作に付け加えたり、やり残された隙間を埋める種類のものだと考えている。様々な表現が生まれる現代美術の中で、私なりの新たな創造を求めた際に、今までの...
2024年9月30日
過去作品について⑤/遠い丘 ”Distant Hills(Cloud_2)”2023
遠い丘の上に立ち昇った雲の中に、物思いに耽る人物像を見た。そこで感じた姿は、ロダンの「考える人」のような苦悩でもなければ、広隆寺の半跏思惟像の慈悲でもなく、喜怒哀楽の境界線上の佇まいであった。やがてその雲は形を変え消えていったが、記憶に留まったその人物像を彫刻にした。...
2024年9月22日
過去作品について④/渚 ”Coast(Cloud_1)”2022
ある夏の日に津市の海辺に現れた入道雲は、真っ青な青空に対比するかのように不穏な気配をしていた。しかし、しばらく観察していると優しげな人物像にも見えてきた。この雲のように、人の姿は美しさと醜さや、内面と外見、人と社会など、時に相反するもの同士が重なり合ってできているように感じ...
2024年9月15日
発表/新制作展
表現と展覧会の関係は密接なので、発表の在り方について再考する必要を感じている。 9月18日から開催される新制作展(国立新美術館)にて作品を発表する予定だ。この展覧会は様々な種類の作品が並ぶため、個人のイメージで空間を作ることはできない。また、ライティングに関しても光のコント...
2024年9月8日
過去作品について③/虚構 "Make-believe"(Empty_3)2020
この作品は「Empty(空無)」シリーズの三作目となり、2020年に制作したものである。前二作(幻影・透過)はギリシャ彫刻へのオマージュ的な性質を含んでいるが、この作品ではこれまでの試みを踏まえながら、私自身の表現を更に思索した。その結果、人物のフォルムは重力に押し潰された...
2024年9月1日
過去作品について②/透過 ”Transparency(Empty_2)”2019
ギリシャ・アルカイック期の立像彫刻は動きが内包されているが、その表情には日本の飛鳥時代の仏像にも通じる微笑みが存在する。私は、素朴でありつつも明快な生命を感じるこの造形に魅力を感じている。制作の新たな展開を求めて、2019年にこの人物像の造形に曖昧な表情や姿形を重ね合わせた...
2024年8月31日
過去作品について①/幻影 ”Optical Illusion(Empty_1)”2018
重力に対して堅牢に立つことを意識した人体彫刻の名作は数多く存在するが、特筆すべきものに、ギリシャ・クラシック期の彫刻が挙げられる。その自然の摂理から発展した造形は、理想の人体像を表し、具象彫刻の完成形の一つに位置付けられる。私は、自分の作品の新たな展開を求めて、2018年に...
2024年8月20日
碌山美術館/ロダニズム
長野県安曇野市にある禄山美術館を訪れた。ここは、近代彫刻の巨匠である荻原守衛(碌山)の美術館で、1958年に長野県の小中学生をはじめとした29万人の手によって建てられた。碌山と関係の深かった戸張孤雁など同時代の作家も展示してあり、日本近代彫刻の流れを振り返ることができる貴重...
2024年8月11日
現在の制作状況 ⑨/作品の完成
ついに作品が完成した。タイトルは「山際」と名付けた。 私は複数の作品を同時並行して制作することにより、一つの作品にできるだけ長くの期間をかけるようにしている。それは各工程で気が付いたことを可能な限り形に織り込みたいからである。短期間で目に見える結果が求められる現代社会のなか...
2024年8月4日
現在の制作状況 ⑧/彩色と台座
作品の彩色が進んできた。最終的な作品の色は台座の上に載せて決めないと、展示の際の印象とは異なる可能性がある。その為、彩色を休止して台座の制作を始めた。 今回の作品は一昨年から取り組んでいるシリーズの一つで、人物に雲の存在を重ね合わせて表現している。雲に反射したり透ける光を意...
2024年7月29日
伊賀のアトリエ④/制作スペース以外の場所(水場・トイレ・玄関)
伊賀のアトリエの改装は残っていた水場、トイレ、玄関が終わり、室内が完成した。全てDIYで行ったので時間は掛かったが、制作しやすい空間になったと感じている。 彫刻は常に失敗を重ねながら制作しているので、DIYで上手くいかないことがあっても、気落ちすることはなかった。むしろ手を...
2024年7月17日
彫刻/モデル
私の作る人物に特定のモデルはいない。それは、誰か個人を表現したいというよりは、もう少し広い範囲での人の存在とは何かを示したいからだ。作品を見た人から誰を作ったのかという質問を受けると、いつも返答がつまらないものになる。 しかし、全ての作品において全くモデルらしき人物がいない...
2024年7月10日
かわらミュージアム/滋賀県近江八幡市
滋賀県近江八幡市にある、かわらミュージアムを訪れた。近江八幡市は瓦の町であり、その町づくりの拠点として、この博物館はつくられた。10棟ほどの建物が連なってできているが、屋根だけで無く床や壁など様々な場所に、2万4000枚に及ぶ瓦が使われている。...
2024年7月1日
現在の制作状況 ⑦/組み立てとカービングの終了
窯出ししてからは、パーツに分けて焼成したものを組み立てたり、カービングで制作を行なったりしていたが、これ以上は手を加えても良くならないと感じたので、彩色の工程に進むことにした。 藝大に在籍していた時は大学に大きな窯があったので、大きなサイズの作品でもカットせずに制作をするこ...
2024年6月26日
公園/癒し
手付かずの自然も良いが、庭園や公園のような人工的に作り上げた自然の景色も好きだ。 津市周辺においては、自然豊かな広い公園が充実している。それは京都にある寺院の名庭とは異なる性質の空間で、肩肘張らずに過ごすことのできる癒しの場所である。私は三重に来るまでは都会で生活することが...
2024年6月18日
彫刻/光
大学では学生を指導する立場にあるが、それが故に気付かされることも多い。自分の作品では客観的になれないが、学生の作品に対しては自分の感情を入れずに見るのが仕事なので、彫刻との向き合い方が制作時とは異なる。 私は作品展示をする際のライティングは、斜め上方向からのトップライトを用...
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